ZENITH (ゼニス)の歴史、まつわる話。 など....



 HISTORY OF ZENITH

さらなる天頂を目指して - ゼニス

ゼニス社が本拠を置くル・ロックルの町は、スイスのニューシャテル州と隣国フランスの間に横たわるジュラ山系の深い緑の南麓に位置する。
ゼニス社を興したジョルジュ・ファーブル・ジャコは1843年、ここル・ロックルに生まれた。
17世紀、パリからジュネーブを経て、ニューシャテルにも時計師たちが工房を開くようになり、ジョルジュが生まれた頃には、時計造りはこの地の伝統産業になっていた。
ジョルジュもまた少年期になると時計師のもとで修業を積み、22歳で独立。
その最初の社名を“マニファクチュール・ド・モントル”と名付けた。

そのとき彼がかかげた理想は“性能の良い時計を、誰もが手の届く価格にする”というものだった。
そのために彼がまず着手したのは製造工程の近代化だった。
当時のスイスの時計造りは、部品の削り出しを習得した熟練時計師の手作業に頼る世界だった。
前近代性を脱皮するには均一な部品、つまり互換性のある部品を作るための機械設備を作ることが必要だった。
それに成功したマニファクチュール・ド・モントル社は次々とムーブメントを開発し、販売も行っていた。

1900年1月に発表された新ムーブメントの名前を考えていたときのことだ。
アイデアがまとまらず夜になった。
ふと夜空を見上げたジョルジュは、満天の星のさらに上、「天頂 - ゼニス」という言葉を頭に描いた。
天帝のおわす所“ゼニス”、これほど新世紀にふさわしい名はないはずだ、と。
1911年ジョルジュは67歳で引退し、社名も“ファブリツク・デ・モントル・ゼニス社”と変わる。

ゼニスの時計として世界にはばたき始める。その精度の高さもさらに磨きがかかり、ニューシャテル天文台の精度コンテストなどで、次々と優秀な成績を収めていった。
そのゼニス社の英知の結晶とでもいうべきムーブメントが1969年に発表される,エル・プリメロのための3019PHC/PHFムーブメントだ。
それは60年代の当時も、そしていまなお世界で最も完成度の高い自動巻クロノグラフムーブメントとされている。

しかし、時代はクオーツ時計の嵐へと突入していく。
間もなくゼニス社もスイス人の経営からアメリカ資本傘下に組み込まれていく。
新たな経営陣はクオーツ時代への対応を命じ、エル・プリメロ3019PHC/PHFムーブメントの生産中止を決定。設計図や金型など一切を破棄せよと命じた。
だが、再び必ず機械式時計が復活する時代が来ると信じる者がいた。
社命に逆らって金型や設計図をそっと箱にしまいこみ、嵐の時代を乗り切った時計師、シャルル・ヴェルモがその人だ。

1980年代に入ると、彼の予測通り機械式時計のブームが始まり3019PHC/PHFムーブメントを求める声が高まる。
クオーツの波が引き潮となりアメリカ人たちはゼニス社を去っていく。
新しいスイス人の経営陣はすぐさまエル・プリメロを復活させた。

さらにゼニスでは来る21世紀のためのムーブメント開発を決定し、1994年、エリートと呼ばれる汎用自動巻ムーブメントを完成させる。
1997年にはフライバック機能をもつレインボー・フライバック・クロノグラフも生まれる。
ジョルジュ・ファーブル・ジャコが名付けた「ゼニス - 天頂」からちょうど1世紀を経て、2001年を迎えたいまもなお、ゼニス社は時計製造マニュファクチュールの道を歩み続けているのだ。


 EL PRIMERO

ナンバーワンの名称を受けたクロノグラフーエル・プリメロ

世界初の専用設計自動巻クロノグラフ用ムープメント“エル・プリメロ”が発表されたのは、1969年のことだった。

直径30ミリ、厚さ6.5ミリの、このムーブメントは、36000/時の振動数を誇り、50時間以上の稼働時間を蓄積する。
さらにピラーホイール、スライディングギアを搭載という、まさに小さな宇宙だ。
発表された当時、スペイン語でNo.1を意味する“エル・プリメロ”という名称の通り世界で最も完成度の高いクロノグラフムープメントとして絶賛された。          
いまもその評価はかわることなく続く。

例えば1時間にテンプが36000という高振動に設定してあるが、これは出来る限りの精度の高さを目指してのことだ。
通常のリストウォッチは18000/時、速くても28800/時だが、エル・プリメロは、36000/時、つまり、1秒間に10ビート=10分の1秒の単位で経過時間を測定することを可能にしている。

これほどの高振動を保つためには、強力な動力が必要となる。
その動力を確保するためにセンターローター式を採用し、口一夕一が両方向回転でゼンマイを巻き上げるという巧妙に考えられた逆回転システムと効果的な減速歯車の組み合わせによって、最大に巻き上げた場合、クロノグラフ搭載機でありながら50時間以上の稼働時間を蓄
積できるものになっている。

さらに、これほどの高振動を保ち続けると、通常よりもパーツが早く摩耗してしまう危険があった。そこでゼニスの研究者たちは何度も実験を重ね、重亜硫酸塩化モリブデンをベースにした、ドライな潤滑剤までも開発した。

エル・ブリメロのもうひとつの大きな特徴はピラー・ホイールだ。
ピラー・ホイールは、いわばクロノグラフの指令塔ともいうべきパーツである。
つまり、プッシュボタンを押すとハンマースプリングを通じてビラ一・ホイールが回転し、クロノグラフのスタート、ストップ、リセットを司るレバー類
を作動させる。
ボタンを押す力が直接、クロノグラフに直結した部品を動かすわけではないので、力の強弱による誤差や強く押しすぎて綾細な部分にダメージを与えることもない。
作動が確実なうえに、耐久性にも富むのだ。

だが、現代のクロノグラフではコストが嵩むためにほとんど見られなくなってしまった。
また、リセットする際、クロノグラフの30分計の送り爪がかみ合ってしまうのを防ぐスライディングギアも同じ理由であまり見られなくなっているパーツだ。

ここで、4時と5時の間に日付表示をもったCa1.400の機能を要約しよう。

 ●直径:30ミリ  ●厚さ:6.5ミリ  ●振動数:36000/時 
 ●31石 ●部品数:225種
 ●両方向自動巻機能 ●パワーリザーブ:50時間以上
 ●日表示は瞬間送り  ●12時間計、30分計

さらに1997年にはCa1.405を発表。
これはプッシュボタンを押し、作動中のクロノグラフ針がリセットされ
た瞬間、再びクロノグラフ針が0から作動を始めるフライバック機能を搭載したものだ。
最初のエル・プリメロから30余年。いまなおその進化は続いている。

 ELITE

エレガントな顔に隠れた完璧なるムーブメント  --  エリート

ゼニスからエル・プリメロ以来、30年ぶりに発表された超薄型自動巻ムーブメントがエリートだ。
エリートは、100年を超える伝統的時計技術と革新的テクノロジーが見事に融和して生まれた作品といえよう。

1980年代末、“エル・プリメロ”の評価が高まるなか、クロノグラフ以外のムーブメントを作ることはできないか、という要望が起こっていた。
当時ゼニスでは、クロノグラフ・ムープメント以外は、外部からエボーシュを仕入れて使用していたが、いま新たなムーブメントを自分たちで作る、・・・社内は揺れた。

だが結論は明らかだった。
ゼニスはあくまでマニュファクチュールなのである。
新たなムーブメントを自分たちの手で開発するのが当然だと考えたのである。
新たなムーブメント作りに際して、ゼニスでは人材、機械類、コンピュータ、コンピュータプログラムに膨大な資本を投じて、長期プロジェクトをスタートさせた。

まず彼らは新型ムーブメントの条件を詳細に書き、社内のデザイナーやエンジニアに渡した。
例えば、・外径111/2型の標準サイズのムープメントで、可能な限り薄型であること。
・最初から自動巻としてデザインすること。
・パワーリザーブ量のできるだけ大きいものにすること。
・基本デザインを変えることなくコンプリケーション(複雑機械装置)の追加ができること。
つまり、パワーリザーブ計やパーペチュァル・カレンダー等を何の支障もなく付け加えることができるもの。

こうした厳しい条件の下でスタートした新しいムーブメントには、デザインから最終段階の生産に持ちこむまで、実に4年半の歳月が必要だった。
1994年、ついに完成した新しいムーブメント、それがエリートだった。
翌年、この新型ムーブメントを搭載したシリーズ6(限定モデル)が発表され、96年、クラス6が発表される。

エリートの機能を要約すると、
 ●直径:26.60ミリ  ●厚さ:3.28ミリ  ●振動数:28800/時
 ●26石(スモールセコンド) 27石(センターセコンド)
 ●モノメタルテンプ
 ●温度補正機能付ヒゲゼンマイ ●耐震機能
 ●微調整ネジ付緩急針 ●パワーリザーブ:55時間以上
 ●ボールベアリング式両方向自動巻機能 
 ●時計機能:時間、分、秒、パワーリザーブ表示(一部モデル)
 ●秒針停正機能 ●日表示は瞬間送り

エリートは基本デザインを変えないでコンプリケーションを追加できることもひとつの条件として開発されたが、その結果、クラスエリートは端正でエレガントなものからスポーティなものまで、さまざまな表情をもつシリーズになっている。

現在、キャリバーには6つのバリエーションがあるが、それも周到に計算されたムープメント、“エリート”があってこそ生まれたものなのだ。
エリートはCOSCによるクロノメーターの認定テストにパスするだけの力を持っているのはもちろんのこと(一部モデルは認定書付)、95年には時計専門誌国際審査団から、その年の“ベスト メカニカルムーブメント オブ・ザ・イヤー”に選ばれている。
 

ZENITH 年表

1843年 ル・ロックルにジョルジュ・ファーブル・ジャコが誕生する。
1865年 ジョルジュは自分のアトリエを、ビロード地区に開く。
1870年頃 工場にル・ロックルの勤労人口の、3分の1が関わるようになる。また設計から各部品の一貫生産ができる、真のマニファクチュールとなる。
1911年 創業者ジョルジュ・ファーブル・ジャコ、67歳で引退。会社が株式会社として改変ファブリック・デ・モントル・ゼニス社となる。
1923年 フランスの時計の町ブザンソンにも新工場を始める。ゼニスは、ニューシャテル天文台で9つの精度新記録を達成。
1926年 腕時計ムーブメント生産量が増え出す。通算生産量200万個突破。
1945年 ニューシャテル天文台にて、キャリバー135スモール・セコンドが、腕時計クロノメーターのあらゆる記録を破る。
1948年 ゼニスの最初の自動巻キャリバー133生産開始、半回転式自動巻、21,600振動。
1965年 自動巻クロノグラフの開発に着手、ピラーホイールを持ち、センター・ローター式というスペックでの開発が始まる。
1969年 自動巻クロノグラフ・ムーブメント、“エル・プリメロ”完成。
1970年 クオーツ・ムーブメント時代到来。
70年代中期はゼニスはアメリカ資本傘下に組込まれ、エル・プリメロも生産中止命令を受ける。
1981年 エル・プリメロの生産が再開されることになる。
1986年 ゼニス社自身が、エル・プリメロ・モデルを復活。
1994年 新時代オートマティック・ムーブメントとして研究されてきた、キャリバー600シリーズ・エリート完成。
1997年 “レインボー・フライバック”発表。

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